「バーチャルオフィスとシェアオフィスってどう違うの?」
起業や副業を始めようとする方から、よく聞かれる疑問のひとつです。
両者は似ているようで、実際には目的も使い勝手も大きく異なります。
- バーチャルオフィスは「住所・郵便・電話」を提供するサービス
- シェアオフィスは「実際の作業スペース」を共有して使うサービス
つまり、どちらを選ぶべきかは「信用を重視するか」「作業環境を重視するか」で決まります。
本記事では、バーチャルオフィスとシェアオフィスの違いを 料金・サービス内容・メリット・デメリット・向いている人 の観点から徹底比較。
さらに「両方を組み合わせるハイブリッド活用」についても紹介し、あなたに最適なオフィス戦略を提案します。
バーチャルオフィスとシェアオフィスの基本的な定義と特徴
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスは、実際の作業スペースを持たずに「住所・電話・郵便」などの機能を提供するサービスです。
- 主な機能
・法人登記用の住所
・郵便物の受取・転送
・固定電話番号や電話代行サービス
・会議室や応接室の時間貸し(オプション)
実際の作業場所は自宅やカフェで行う人が多く、「信用を確保するための看板」として利用するケースが中心です。
特に、起業したてのフリーランス・スタートアップ・地方企業の東京進出に人気があります。
シェアオフィスとは?
シェアオフィスは、複数の利用者が同じワークスペースを共有して使う形態のオフィスです。
- 主な機能
・デスクや会議室などの作業スペース
・高速インターネットや複合機
・フリードリンク、カフェスペース
・受付スタッフや郵便物の受け取り(施設による)
「自宅作業では集中できない」「人脈を広げたい」という人に向いており、コミュニティ形成や日常の作業効率を高める場として活用されています。
両者の一番の違い
- バーチャルオフィス:作業スペースはない。住所や電話で“会社の顔”を作るサービス
- シェアオフィス:作業スペースがある。日々の仕事を快適にするサービス
つまり、
- 「信用」→ バーチャルオフィス
- 「環境」→ シェアオフィス
という役割分担になります。
料金相場とコスト感の比較
バーチャルオフィスの料金相場
バーチャルオフィスは、月額数千円〜1万円台で利用できるのが一般的です。
- 住所利用のみ:月額 1,000円〜5,000円
- 郵便転送付き:月額 3,000円〜8,000円
- 電話番号・電話代行付き:月額 5,000円〜15,000円
- 会議室利用(オプション):1時間あたり 500円〜2,000円程度
特に「登記住所+郵便転送」で月額5,000円前後が主流。
スタートアップや個人事業主が「とにかく安く信用を得たい」ときに最適です。
シェアオフィスの料金相場
シェアオフィスは、月額1万円〜3万円台が多く、利用スタイルによって幅があります。
- フリーデスク(自由席):月額 10,000円〜20,000円
- 固定デスク(専用席):月額 20,000円〜40,000円
- 会議室利用:1時間あたり 1,000円〜3,000円程度
- 法人登記オプション:月額 5,000円前後で追加できる場合も
シェアオフィスは「作業スペース代」なので、バーチャルオフィスよりは高めですが、それでも都心の賃貸オフィスを借りるよりは圧倒的に安価です。
コスト感の比較表
項目 | バーチャルオフィス | シェアオフィス |
---|---|---|
初期費用 | 0円〜1万円 | 1万円〜5万円 |
月額費用 | 1,000円〜15,000円 | 10,000円〜40,000円 |
郵便転送 | あり(標準〜オプション) | 施設による |
電話サービス | あり(オプション) | 基本的になし |
作業スペース | なし | あり |
会議室 | オプション利用可 | 標準装備 or 有料予約 |
コスト観点からの結論
- 「最安で住所だけ欲しい」 → バーチャルオフィス
- 「住所+作業環境が必要」 → シェアオフィス
- 「住所は地方にあるから不要。作業環境だけ」 → シェアオフィス一本で十分
メリット・デメリット比較
バーチャルオフィスのメリット
- 圧倒的に低コスト
月数千円から利用できるため、固定費を極限まで抑えられる。 - 一等地住所で信用を得られる
名刺やWebサイトに都心住所を載せるだけで「ちゃんとした会社」に見える。 - 自宅住所を非公開にできる
個人事業主やフリーランスにとってプライバシー保護は大きな安心材料。 - 郵便・電話対応が整う
郵便転送や電話代行サービスを組み合わせることで、実際にスタッフがいなくても「オフィスらしさ」を演出できる。
バーチャルオフィスのデメリット
- 作業スペースがない
実際の作業場所は自宅やカフェに依存する必要がある。 - 「実体がない」と見られる可能性
取引先や金融機関から「住所だけでは?」と疑われることがある。 - 会議室利用が限定的
利用は予約制・時間制で、急な商談対応が難しい場合もある。 - 他社と同住所になるリスク
同じ住所を複数社が利用しているため、調べれば「バーチャルだ」と気づかれる。
シェアオフィスのメリット
- 作業環境が整っている
Wi-Fi・電源・デスク・プリンター・会議室などが揃っており、日々の業務に便利。 - 交流・ネットワーキングの機会
他の利用者との偶然の出会いが、ビジネスチャンスにつながることもある。 - 即日利用できる柔軟さ
ドロップイン(時間単位利用)も多く、気軽に作業拠点を持てる。 - 集中できる環境
自宅やカフェよりも「仕事モード」に入りやすい。
シェアオフィスのデメリット
- バーチャルオフィスより高コスト
月額1万〜3万円前後が必要。 - プライバシー・セキュリティ面の懸念
オープンスペースが多いため、機密情報を扱う仕事には不向きな場合もある。 - 混雑や利用制限
フリーデスクは「席が空いていない」という状況が起こり得る。 - 法人登記ができない場合もある
施設によっては住所利用・法人登記が認められていないこともある。
まとめ:メリット・デメリットの対比
項目 | バーチャルオフィス | シェアオフィス |
---|---|---|
コスト | ◎(最安) | △(高め) |
信用(住所) | ◎ | △(対応不可もある) |
作業環境 | × | ◎ |
ネットワーク形成 | × | ○ |
プライバシー | ○ | △ |
会議室 | △(予約制) | ○(常設あり) |
どんな人に向いているか(利用シーン別おすすめ)
バーチャルオフィスが向いている人
- 起業したばかりの個人事業主・フリーランス
コストを最小限に抑えつつ、信用できる住所を名刺やWebサイトに載せたい人。 - 自宅住所を公開したくない人
デザイナー・ライター・士業など、在宅で仕事を完結できるが住所は必要な人。 - 地方企業の東京進出を試みる人
東京に支社を持ちたいが、実際に常駐は不要という企業。 - ネットショップ運営者
特定商取引法で住所公開が義務付けられているEC事業者。 - 信用を最優先する業種
士業やコンサルタントなど、「一等地住所」が営業トークの強力な武器になる人。
シェアオフィスが向いている人
- 集中できる作業環境が欲しい人
自宅やカフェでは集中できないフリーランスやリモートワーカー。 - 交流・人脈形成を求める人
スタートアップやクリエイター同士のつながりを作りたい人。 - チームでの作業拠点が欲しい人
数人規模で起業したばかりのベンチャー。会議室や共同スペースを使いながら成長できる。 - フレキシブルに働きたい人
出張先や外出先で、その日のみのドロップイン利用をしたい人。 - 「家ではONにならない」人
在宅勤務が長引いて、生活と仕事の切り替えができない人にもおすすめ。
バーチャルオフィス+シェアオフィスのハイブリッドが向いている人
- 信用と作業環境の両方が必要な人
フリーランスや小規模法人で「住所は一等地」「普段はシェアオフィスで作業」というスタイル。 - 地方発スタートアップ
本社は地方に置きつつ、東京に住所を構え、必要時にはシェアオフィスを利用。 - 採用活動を行いたい企業
求人票に東京住所を掲載しつつ、面接や説明会はシェアオフィスの会議室で対応。
利用シーンまとめ
- 住所・信用・低コストを優先するなら → バーチャルオフィス
- 作業効率・人脈・環境を優先するなら → シェアオフィス
- 両方必要なら → ハイブリッド活用
失敗談&注意点(利用者のリアルな声から)
バーチャルオフィスの失敗談
- 住所だけ借りて説明不足で不信感を招いた
フリーランスAさんは、バーチャルオフィス住所を名刺に記載したが、クライアントから「訪問したい」と言われて困惑。
→ 「実体がない」と判明し、不信感を持たれて契約につながらなかった。 - 郵便物が遅れてトラブルに
士業Bさんは週1回転送プランを利用していたが、重要書類の到着が遅れ、手続き期限に間に合わなかった。
→ 郵便サービスの頻度を確認せずに契約したことが原因。 - 同じ住所に怪しい会社があった
C社は格安バーチャルオフィスを選んだが、同住所に悪質な業者も入居していた。
→ 顧客から「大丈夫な会社ですか?」と疑われることに。
シェアオフィスの失敗談
- 混雑で作業できなかった
Dさんはフリーデスク型シェアオフィスを契約したが、出勤時間が遅いと席が埋まっており、結局カフェで仕事する羽目に。 - セキュリティが甘く情報漏洩リスクを感じた
E社はシェアオフィスで打ち合わせをしていたが、周囲に会話が丸聞こえ。
→ 顧客情報を扱う業務には不向きと痛感。 - 思ったよりコストがかさんだ
Fさんは月額プランを契約したものの、ほとんど利用せず。結果的に「レンタルオフィス借りた方がよかった」と後悔。
ハイブリッド利用での失敗談
- サービスを別々に契約してコスト増
バーチャルオフィスは新宿、シェアオフィスは渋谷とバラバラに契約。移動に時間もかかり、結局割高になった。 - 会議室予約の二重管理で混乱
複数サービスを使っていた結果、「どこで予約したか分からない」「ダブルブッキング」というトラブルが発生。
注意点まとめ
- バーチャルオフィスは 郵便・電話・利用者層の質を必ずチェック
- シェアオフィスは 混雑・セキュリティ・利用頻度を見極める
- ハイブリッド利用は 同一エリア or 同一運営会社でまとめると効率的
まとめ
バーチャルオフィスとシェアオフィスは似ているようで、実際には役割が大きく異なります。
- バーチャルオフィス
住所・郵便・電話対応など「信用を形にするサービス」。
低コストで法人登記や名刺記載が可能で、起業初期や地方企業の東京進出に最適。 - シェアオフィス
作業環境やコミュニティを提供する「働く場所のサービス」。
集中できるデスク、会議室、交流の場を確保したい人に向いている。
それぞれメリット・デメリットがあり、利用シーンも異なります。
- 「信用を重視し、コストを抑えたい」 → バーチャルオフィス
- 「快適な作業環境や交流が欲しい」 → シェアオフィス
- 「両方必要」 → ハイブリッド利用
失敗談からも分かるように、選ぶ際には 利用目的・利用頻度・サービス内容 をしっかり確認することが大切です。
結論:
オフィス選びは「どんな働き方をしたいか」で決まります。
信用が欲しいのか、作業環境が欲しいのか、それとも両方か。
自社や自分のフェーズに合わせて柔軟に選べば、バーチャルオフィスもシェアオフィスも、事業を加速させる強力なツールになります。